イーサリアムのレイヤー2とは:初心者向け解説

2025/01/08

イーサリアムのレイヤー2とは:初心者向け解説

イーサリアムのレイヤー2(L2)ネットワークは、ブロックチェーン技術の革新的な解決策として注目を集めています。この記事では、レイヤー2の基本から実際にブリッジをして利用できるところまで、わかりやすく解説していきます。

レイヤー2とは:誕生の背景と目的

イーサリアムが直面していた課題

イーサリアムは、その人気と利用の増加に伴い、深刻なスケーラビリティの問題に直面していました。1秒間に処理できる取引数が限られており、ネットワークが混雑すると取引手数料(ガス代)が高騰し、少額の取引でも数千円から数万円のガス代が必要になることもありました。これは特に、頻繁に取引を行うDeFiサービスのユーザーにとって大きな負担となっていました。

レイヤー2の登場

このような課題を解決するため、イーサリアムのレイヤー2ネットワークが開発されました。レイヤー2は、イーサリアムメインネット(レイヤー1)の上に構築された追加のネットワークで、メインネットの処理を分散させることで、より高速で低コストな取引を実現します。これにより、1秒間に数千件の取引を処理することが可能になり、ガス代も数十円から数百円程度まで削減されました。

主要なレイヤー2ネットワークの特徴

Arbitrum

Arbitrumは現在、最も人気の高いレイヤー2ネットワークの一つです。Optimistic Rollupと呼ばれる技術を採用し、イーサリアムの安全性を維持しながら、高速な取引処理を実現しています。特にDeFiプロジェクトが多く展開されており、取引所やレンディングなど、様々な金融サービスを低コストで利用することができます。豊富な流動性と使いやすいインターフェースにより、多くのユーザーから支持を得ています。

最近では、Arbitrum Orbitという新しい技術フレームワークも発表されました。Arbitrum Orbitは、開発者がArbitrumの技術を活用して独自のレイヤー2ネットワークを構築できる革新的な仕組みです。これにより、特定のコミュニティやプロジェクト向けにカスタマイズされたネットワークを作ることが可能になり、よりニーズに合わせた柔軟なブロックチェーン環境を実現できます。また、これらのネットワークはArbitrumのメインネットワークと密接に連携することができ、相互運用性の課題に対する新しい解決策としても注目されています。

Optimism

Optimismは、イーサリアムとの高い互換性を特徴とするレイヤー2ネットワークです。イーサリアムのスマートコントラクトをそのまま移行できる特徴があり、開発者にとって非常に使いやすい環境を提供しています。多くの人気DeFiプロジェクトがOptimism上で展開されており、活発なエコシステムを形成しています。

また、OptimismはOP Stackと呼ばれる技術スタックを公開しています。OP Stackは、Optimismが開発したレイヤー2技術を誰でも利用できるようにしたオープンソースのフレームワークを導入し、ネットワークの持続可能な発展を目指しています。 OP Stackはこの後紹介するBaseやWorldcoinが作成するレイヤー2ネットワークでも採用されており、現在注目の仕組みとなっています。

Base(Coinbase)

暗号資産取引所の大手Coinbaseが開発するBaseは、Optimismの技術を基盤としながら、独自の改良を加えたレイヤー2ネットワークです。Coinbaseのブランド力と信頼性を背景に、機関投資家向けの充実した機能を提供しています。また、一般ユーザーにとっても、Coinbaseのウォレットとの連携により、シームレスな取引体験を実現しています。

その他には、WorldcoinやMantleといった新興のレイヤー2ネットワークも注目を集めています。Worldcoinは生体認証との革新的な統合を特徴とし、Mantleは新しい技術アプローチによってさらなる高スケーラビリティを追求しています。

レイヤー2の現状と課題

運用面での特徴

レイヤー2ネットワークでは、取引手数料としてETHが必要です。これは、最終的にすべての取引がイーサリアムメインネットに記録されるためです。ただし、メインネットと比較して手数料は大幅に抑えられており、多くのユーザーが利用しやすい環境となっています。DeFiプロジェクトの多くがレイヤー2に移行しており、取引所、レンディング、ステーキングなど、様々なサービスを低コストで利用することができます。

直面している課題

現在のレイヤー2ネットワークが直面している最大の課題は、相互運用性の制限です。異なるレイヤー2ネットワーク間でトークンを移動する際には、一度メインネットを経由したり外部のプロジェクトが作成したブリッジを利用する必要があり、時間とコストがかかってしまいます。これらの問題によってレイヤー2ネットワーク間の分断が発生しており、スケーラビリティ向上という本来の目的に対して、効率を低下させる要因となっています。また、各ネットワークが独自の発展を遂げることで、エコシステムの分断化が進んでいることも課題として指摘されています。

レイヤー2の利用開始方法

アクセス方法

レイヤー2ネットワークを利用するには、まずイーサリアムメインネットからのブリッジ(橋渡し)が必要です。ブリッジとは、あるネットワークから別のネットワークへ資産を移動するための仕組みです。また、最近では他のブロックチェーンから直接レイヤー2にアクセスすることも可能になってきており、利便性が向上しています。

利用時の注意点

レイヤー2の利用を開始する際は、まず取引手数料として使用するETHを準備する必要があります。また、各ネットワークに対応したウォレットの設定も重要です。セキュリティの観点から、信頼できるブリッジサービスを選択することも大切です。

イーサリアムのレイヤー2ネットワークは、ブロックチェーン技術の未来を切り開く重要な革新として期待されています。現在も課題は残されていますが、継続的な開発と改善により、より使いやすく効率的なエコシステムへと発展を続けています。ユーザーにとってより身近で実用的なブロックチェーン環境の実現に向けて、レイヤー2の果たす役割は今後さらに重要になっていくでしょう。

ブリッジして利用する方法

Arbitrum

Arbitrumでは公式のブリッジサイトが用意されています。

このサイトを用いることでEthereum上からのブリッジが簡単に行えます。

この時、「You will pay in gas fees:」の右側にブリッジに必要な手数料が記載されます。

Base、Optimism

Baseでは公式のブリッジサイトは存在せず、外部のプロジェクトが作成したブリッジが紹介されています。

Superbridgeと、Brid.ggが現在公式サイトで公開されているブリッジです。

どちらも先ほどのArbitrum Bridgeのように必要な手数料が表記されない点に注意が必要です。

Superbridge

Brid.gg

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