【第2回Bitcoin入門】ビットコインウォレットの仕組みとおすすめの運用方法について解説

2025/01/15

【第2回Bitcoin入門】ビットコインウォレットの仕組みとおすすめの運用方法について解説

ビットコインの取引や保管に不可欠なウォレットですが、その仕組みを正確に理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。

実はウォレットはビットコインそのものを保管しているわけではなく、取引に必要な秘密鍵やアドレスを管理するためのツールです。

本記事では、ウォレットの基本的な仕組みから、秘密鍵・公開鍵・アドレスの関係性、さらにはセキュリティ面での注意点まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

ウォレットの種類や選び方についても触れていくので、これからビットコインを始める方も、すでに利用している方も、より安全な管理方法を学ぶことができます。

ビットコインウォレット(Wallet)の基本

ビットコインをはじめとする仮想通貨のウォレットは、一般的に「デジタルな財布」として説明されることが多いですが、実際にはもっと複雑な仕組みを持っています。ウォレットの主な役割は、ビットコインの取引に必要な重要な情報を管理することです。ビットコインそのものはブロックチェーン上に記録されており、ウォレットはブロックチェーンにアクセスするための鍵や情報を安全に保管・管理するツールとして機能しています。従来の銀行口座や現金の財布とは異なり、仮想通貨のウォレットは実際の通貨を保管しているわけではないという点が、初めてビットコインを始める方には意外に感じるかもしれません。

ビットコインのウォレットが管理する3つの要素

ビットコインのウォレットが管理する主要な要素は以下の3つです:

  1. 秘密鍵:取引を承認するために必要な、誰にも知られてはいけない鍵
  2. 公開鍵:秘密鍵から数学的に導き出される情報で、他人に開示しても問題ない
  3. ビットコインアドレス:送金先として使用する、公開鍵から生成される文字列

これらの要素は、銀行取引に例えると分かりやすいでしょう。ビットコインアドレスは口座番号のような役割を果たし、誰でも知ることができます。一方、秘密鍵はATMのPINコードのようなもので、所有者だけが知っている必要があります。公開鍵は、この両者をつなぐ重要な技術的要素として機能します。

よくある誤解と実際の仕組み

多くの人が「ウォレットの中にビットコインが保管されている」と考えがちですが、これは誤解です。実際の仕組みは以下のようになっています:

  • ビットコインの残高や取引履歴は、すべてブロックチェーン上に記録されています
  • ウォレットは、それらの情報にアクセスするための鍵を管理しています
  • 取引を行う際は、ウォレットが秘密鍵を使用して電子署名を生成します

つまり、ウォレットは物理的な財布のように「お金を入れる場所」ではなく、むしろ金庫の鍵束のような役割を果たしています。ビットコインの送金時には、ウォレットがこれらの鍵を使って取引を承認し、ブロックチェーン上で記録を更新する仕組みとなっているのです。

この仕組みを理解することは、ウォレットを安全に管理する上で非常に重要です。特に秘密鍵の管理は最も注意が必要で、これを失うとビットコインへのアクセスも失われてしまいます。そのため、多くのウォレットでは秘密鍵のバックアップ機能を提供しており、これを適切に保管することが推奨されています。

ビットコインにおける暗号鍵とアドレスの仕組みを理解しよう

秘密鍵は、ビットコインウォレットにおける最も重要な要素です。これは、256ビットの非常に大きな数値で、完全にランダムに生成される必要があります。秘密鍵の作り方を誤ると重大な問題につながる可能性があるため、適切な生成方法を理解することが重要です。

ビットコインにおける秘密鍵の生成と役割

秘密鍵は、ビットコインウォレットにおける最も重要な要素です。これは、256ビットの非常に大きな数値で、完全にランダムに生成される必要があります。

秘密鍵の特徴:

  • ランダムな256ビットの数値
  • 他人に知られてはいけない情報
  • 紛失すると資産へのアクセスも失われる
  • 暗号学的に安全な乱数生成器で作成する必要がある

秘密鍵の生成には、高度な暗号技術が使用されています。ウェブ上で”オンライン秘密鍵生成ツール”などを検索して見つかるようなツールは、安全性が確認できないため使用を避けるべきです。一般的なコンピュータの乱数生成では十分な安全性が確保できないため、暗号学的に安全な乱数生成器(CSPRNG)が使用されます。この方法で生成された秘密鍵は、予測や推測が実質的に不可能な値となります。

この数値の大きさを理解するため例を挙げると、256ビットの数値は宇宙に存在する全陽子の数よりも大きいと言われています。そのため、適切に生成された秘密鍵が重複する可能性は事実上ありません。また、この秘密鍵は文字通り「秘密」に保たれなければなりません。誰かに知られてしまうと、その人がビットコインを自由に送金できてしまうためです。

公開鍵の導出プロセス

公開鍵は、秘密鍵から楕円曲線暗号という数学的な手法を使って生成されます。この過程は一方向の計算であり、公開鍵から秘密鍵を求めることは実質的に不可能です。

公開鍵の特徴:

  • 秘密鍵から数学的に生成される
  • 他人に開示しても問題ない
  • XY座標で表現される点の情報
  • 圧縮形式と非圧縮形式がある

ビットコインでは、secp256k1という特定の楕円曲線が使用されています。この曲線上で秘密鍵の値を乗算することで公開鍵が得られます。公開鍵は、座標平面上の点として表現され、その点のX座標とY座標の情報を持っています。これらの座標は、データサイズを削減するために圧縮形式で保存することも可能です。Y座標は、X座標から計算可能なため、X座標と座標の偶奇情報だけを保持する圧縮形式が一般的に使用されています。

ビットコインアドレスの作成方法

ビットコインアドレスは、公開鍵からさらに変換して作られる、実際の送金先として使用される文字列です。

アドレス生成の手順:

  1. 公開鍵にSHA256ハッシュ関数を適用
  2. さらにRIPEMD160ハッシュ関数を適用
  3. バージョン番号を追加
  4. チェックサムを付加
  5. Base58Checkエンコードで文字列に変換

この変換プロセスでは、まず公開鍵に対して二段階のハッシュ処理が行われます。最初にSHA256ハッシュ関数を適用し、その結果にさらにRIPEMD160ハッシュ関数を適用します。これにより、160ビットのハッシュ値が得られます。

次に、このハッシュ値にバージョン番号が追加されます。バージョン番号は、アドレスのタイプを示す情報です。その後、誤入力を検出するためのチェックサムが付加されます。チェックサムは、先ほどのデータをSHA256で二重にハッシュした結果の最初の4バイトです。

最後に、これらの情報をBase58Checkという形式でエンコードします。この形式は、人間が読みやすく、また打ち間違いを防ぐように設計されています。例えば、数字の「0」とアルファベットの「O」など、見分けにくい文字を除外しています。

このようにして生成されたビットコインアドレスは、通常「1」や「3」、「bc1」で始まる文字列となり、これが実際の送金先として使用されます。アドレスにはチェックサムが含まれているため、入力ミスがあった場合にはエラーとして検出することができ、誤送金を防ぐことができます。

進化するビットコインウォレットの仕組み

ビットコインのウォレットは、その誕生から現在まで大きく進化してきました。初期のウォレットは、それぞれの秘密鍵を個別に生成・管理する必要があり、バックアップも煩雑でした。しかし現代のウォレットは、より使いやすく、かつ安全性の高い仕組みを採用しています。

HD(階層的決定性)ウォレットとは

現代のビットコインウォレットの多くが採用しているHD(Hierarchical Deterministic)ウォレットは、単一のシード値から必要な数だけ秘密鍵を生成できる画期的な仕組みです。

HD ウォレットの主な特徴:

  • 単一のシードから多数の鍵を生成可能
  • 階層構造で鍵を管理
  • 公開鍵のみを共有可能
  • バックアップが容易

これらの特徴について詳しく見ていきましょう。HDウォレットでは、最初に生成されたシード値が「マスターキー」となり、そこから必要な数だけ子となる鍵を生成することができます。さらにその子の鍵からも新しい鍵を生成できるため、木の枝分かれのような階層構造を作ることができます。

また、HDウォレットの革新的な点として、秘密鍵を持たなくても公開鍵だけを生成できる機能があります。これにより、例えばECサイトでは、安全性を確保しながら支払い受け取り用の新しいアドレスを生成することができます。

ニーモニックフレーズによる復元の仕組み

HDウォレットのバックアップ方法として、ニーモニックフレーズ(シードフレーズ)が広く採用されています。これは12~24個の英単語の並びで、ウォレットの全ての鍵を復元できる情報を表現しています。

ニーモニックフレーズの特徴:

  • 人間が読み書きしやすい英単語で構成
  • チェックサム機能により入力ミスを検出可能
  • オプションでパスフレーズによる保護が可能
  • 国際化対応で様々な言語をサポート

ニーモニックフレーズは、まず128~256ビットのランダムな値(エントロピー)を生成することから始まります。このエントロピーにチェックサムを追加し、11ビットごとに区切って、それぞれを事前に定義された2048個の単語リストの中の対応する単語に変換します。例えば「army van defense carry jealous true」といった形式になります。

これらの単語を正しい順序で保存しておけば、ウォレットを紛失した場合でも、対応するソフトウェアでニーモニックフレーズを入力することで、全ての鍵を復元することができます。さらに安全性を高めたい場合は、追加のパスフレーズを設定することも可能です。

このように、現代のビットコインウォレットは、高度な技術を採用しながらも、一般ユーザーにとって使いやすい形で提供されています。HDウォレットとニーモニックフレーズの組み合わせにより、安全性と利便性の両立を実現しています。

ビットコインウォレットの種類と基本的な特徴

ビットコインのウォレットには、用途や安全性に応じて様々な種類があります。それぞれのウォレットには固有の特徴があり、用途や必要なセキュリティレベルによって使い分けることが重要です。

ホットウォレットとコールドウォレットの違い

ビットコインウォレットは、まずインターネットへの接続性によって大きく2つに分類されます。

ホットウォレットの特徴:

  • インターネットに常時接続
  • 取引がすぐに行える
  • 比較的セキュリティリスクが高い
  • 少額での利用に適している

コールドウォレットの特徴:

  • オフライン環境で管理
  • 取引に手間がかかる
  • 高いセキュリティを確保
  • 大額の保管に適している

これらの特徴をより詳しく見ていきましょう。ホットウォレットは、インターネットに接続されているため、必要な時にすぐにビットコインを送金できる利便性があります。一方で、常にオンラインであることから、マルウェアやハッキングのリスクにさらされています。

コールドウォレットは、インターネットから完全に切り離された環境で秘密鍵を管理します。取引を行う際は、一時的にオンライン環境と接続する必要があるため手間はかかりますが、セキュリティは格段に高くなります。

ソフトウェアウォレットの特徴と種類

ソフトウェアウォレットは、パソコンやスマホにアプリをインストールして使用するタイプのビットコインウォレットです。主要なプラットフォームに対応しており、WindowsやmacOS向けのデスクトップアプリ、iPhoneやAndroid向けのモバイルアプリ、さらにはChromeなどのWebブラウザで使用できる拡張機能型まで、様々な選択肢があります。

主なソフトウェアウォレットの種類:

  • デスクトップウォレット:PCにインストールして使用
  • モバイルウォレット:iPhoneやAndroid のスマホのアプリで利用可能
  • ブラウザ拡張機能型:Electrum Web等のブラウザから直接アクセス可能なウォレット

デスクトップウォレットは、完全な機能を備えており、特にフルノードを実行する開発者や技術者に好まれます。Windows版やmacOS版が提供されており、ビットコインの取引履歴やネットワークの状態なども確認できる高度な機能を備えています。

一方、モバイルウォレットは、iPhoneやAndroid向けのアプリとして提供され、QRコードでの支払いや、いつでもどこでもアクセスできる利便性が特徴です。特にスマートフォンのカメラを使ったQRコード読み取り機能により、送金先アドレスの入力ミスを防ぐことができます。

また最近では、メタマスクのようなWebブラウザの拡張機能として動作するウォレットも人気を集めています。メタマスクはビットコインでは使えませんが、イーサリアムやEVM系のアルトコインで使用可能で、これらは、ブラウザ上で動作するため、別途アプリをインストールする必要がなく、オンラインでdAppsなどでの利用に便利です。

どのタイプのソフトウェアウォレットを選択する場合でも、定期的なバックアップが重要です。スマートフォンの故障や紛失、パソコンのクラッシュなどに備えて、シードフレーズを安全に保管しておく必要があります。

ハードウェアウォレットの特徴と利点

ハードウェアウォレットは、専用の物理デバイスを使用して秘密鍵を管理する、最も安全性の高いビットコインウォレットの一つです。

ハードウェアウォレットの主な利点:

  • 秘密鍵がオフライン環境で保管される
  • マルウェアの影響を受けにくい
  • 使い方が比較的簡単
  • バックアップと復元が容易

ハードウェアウォレットでは、秘密鍵が専用デバイス内で生成され、外部に出ることはありません。取引の署名もデバイス内で行われるため、コンピュータがマルウェアに感染していても、ビットコインは安全に保護されます。初期費用は必要ですが、大量のビットコインを保管する場合は、その投資に見合う安全性が得られます。

取引所のサービス

取引所が提供するウォレットは、最も手軽に利用できるビットコインの保管方法です。

取引所ウォレットの特徴:

  • 口座開設だけで利用可能
  • 秘密鍵の管理が不要
  • 取引がスムーズ
  • 取引所自体のリスクに依存

取引所のウォレットサービスでは、秘密鍵の管理を取引所が行うため、ユーザーは複雑な技術的知識がなくても利用できます。ただし、「あなたが秘密鍵を持っていないなら、それはあなたのビットコインではない」という格言があるように、取引所に依存するリスクも存在します。

過去には取引所のハッキングや破綻により、利用者が資産を失う事例も発生しています。そのため、大量のビットコインを保管する場合は、取引所ウォレットだけでなく、自己管理のウォレットと組み合わせて使用することが推奨されます。

例えば、日本のある取引所では、顧客の資産の95%以上をコールドウォレットで管理し、取引に必要な分だけをホットウォレットに置く方式を採用していました。また、GMOコインやCoincheckなどの取引所も、同様の安全管理体制を整えています。これらの取引所は金融庁に登録された暗号資産交換業者として、顧客の資産を安全に管理するための体制を整備することが義務付けられています。

ただし、取引所を利用する場合でも、全ての資産を預けきりにするのではなく、日常的な取引に必要な額だけを預け、大部分は自己管理のウォレットで保管することが推奨されます。日本の取引所は比較的安全性が高いとされていますが、海外では取引所の破綻やハッキング被害によって利用者が資産を失うケースも報告されているためです。

このように、取引所のウォレットサービスは、利便性と一定の安全性を備えていますが、「自己管理」の原則を意識しながら利用することが重要です。特に大きな額のビットコインを保管する場合は、取引所のウォレットだけでなく、ハードウェアウォレットなどの自己管理ウォレットと組み合わせて使用することをお勧めします。

目的別のビットコインウォレットの選び方ガイド

ビットコインのウォレットは、使用目的によって最適な選択肢が異なります。資産の保管額、取引の頻度、セキュリティへの要求度などを考慮して、適切なウォレットを選択することが重要です。

ビットコイン初心者が最初に選ぶべきウォレット

初めてビットコインを始める方には、以下のような特徴を持つウォレットがおすすめです:

  1. 取引所提供のウォレット
    • 簡単な口座開設で利用可能
    • 操作が直感的
    • カスタマーサポートが充実
  2. スマートフォン用のモバイルウォレット
    • 手軽に利用開始可能
    • QRコードで簡単送受金
    • バックアップが容易

初心者の方は、まず取引所のウォレットサービスから始めることをお勧めします。取引所のウォレットは、専門的な知識がなくても安全に利用でき、困ったときにサポートを受けられる利点があります。ある程度慣れてきたら、モバイルウォレットを追加して、少額の取引に活用するのが良いでしょう。

ビットコインの長期保管向けのおすすめの方法

大量のビットコインを長期保管する場合は、セキュリティを最優先に考える必要があります。

長期保管に適したウォレットの構成:

  1. メインのストレージ
    • ハードウェアウォレットを使用
    • コールドストレージとして運用
    • 複数のバックアップを保管
  2. セキュリティ強化策
    • マルチシグ設定の活用
    • 定期的なファームウェア更新
    • 物理的なセキュリティ対策

長期保管では、ハードウェアウォレットを中心とした構成が推奨されます。秘密鍵がオフラインで保管され、マルウェアの影響を受けにくいためです。さらに安全性を高めたい場合は、複数の署名を必要とするマルチシグウォレットの設定も検討に値します。また、シードフレーズのバックアップは、物理的に異なる場所に分散して保管することで、災害などのリスクにも備えることができます。

アクティブな取引をする人におすすめの構成

頻繁に取引を行う場合は、利便性とセキュリティのバランスが重要です。以下のような多層構造のウォレット管理がおすすめです:

  1. 日常的な取引用
    • 取引所ウォレット(取引用)
    • モバイルウォレット(少額決済用)
    • 残高は必要最小限に抑える
    • 出金上限額の設定
  2. メインの資産保管用
    • ハードウェアウォレット
    • 必要に応じて取引用ウォレットに移動

アクティブトレーダーの方は、取引所のウォレットをメインに使用しつつ、セキュリティを考慮して資産を分散させることをお勧めします。例えば、取引に必要な額だけを取引所のウォレットに置き、主な資産はハードウェアウォレットで保管するという方法です。また、取引所からの出金操作は二段階認証を設定するなど、セキュリティを強化することが重要です。日常的な支払いにはモバイルウォレットを利用することで、取引所への依存度を下げることができます。

このように、ビットコインウォレットは目的に応じて使い分けることで、それぞれの利点を最大限に活かすことができます。特に重要なのは、単一のウォレットに依存せず、用途に応じて適切に組み合わせることです。セキュリティと利便性のバランスを考慮しながら、自分に最適なウォレット構成を見つけていくことが大切です。

セットアップと運用の具体的な手順

ビットコインウォレットの導入と運用には、いくつかの重要なステップがあります。特に初期設定時の手順を誤ると、資産を失うリスクがあるため、慎重に進める必要があります。

初期設定時の重要なポイント

新しいウォレットをセットアップする際は、以下の点に特に注意を払う必要があります:

  1. 環境の準備
    • マルウェア対策済みの端末を使用
    • 安全なネットワーク環境の確保
    • 信頼できる提供元からのソフトウェア入手
  2. バックアップの作成
    • シードフレーズの安全な記録
    • 複数の保管場所の確保
    • バックアップの動作確認

これらの準備は非常に重要です。特にシードフレーズの記録は、油性ペンを使用して紙に手書きで行い、デジタルデータとして保存しないことが推奨されます。また、記録したシードフレーズは、火災や水害などに備えて、物理的に異なる複数の場所に保管することが望ましいでしょう。

初期設定時には、少額のビットコインで送受金のテストを行うことも重要です。特に、バックアップからの復元テストは、実際に資金を失う前に必ず実施しておくべき手順です。

日常的な運用とメンテナンス

ウォレットを安全に運用し続けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません:

  1. 定期的な確認事項
    • ソフトウェアの更新
    • バックアップの状態確認
    • セキュリティ設定の見直し
  2. 安全な運用のルール
    • 取引前の送金先アドレスの確認
    • 不要な時はオフライン保管
    • 定期的なパスワード変更

日常的な運用では、ウォレットソフトウェアを最新の状態に保つことが重要です。セキュリティアップデートが提供された場合は、速やかに適用するようにしましょう。

特にハードウェアウォレットを使用している場合は、ファームウェアの更新も忘れずに行う必要があります。また、定期的にバックアップの状態を確認し、シードフレーズが判読可能な状態で保管されているか確認することも大切です。

取引を行う際は、必ず送金先のビットコインアドレスを複数回確認してください。アドレスの一部だけを確認する習慣は危険です。また、マルウェアによってクリップボードのアドレスが書き換えられる攻撃も報告されているため、可能であればQRコードを使用した方が安全です。

大量のビットコインを保管している場合は、日常的に使用する額だけをホットウォレットに置き、残りはコールドウォレットで保管することをお勧めします。これにより、オンラインでの攻撃リスクを最小限に抑えることができます。

セキュリティを重視する場合は、生成した秘密鍵をペーパーウォレットとして紙に印刷して保管する方法もあります。これはオフラインでの保管が可能で、ハッキングのリスクを大幅に低減できます。ただし、紙の劣化や火災などの物理的なリスクには注意が必要です。

最後に、二段階認証などの追加的なセキュリティ機能が利用可能な場合は、積極的に活用しましょう。特に取引所のウォレットを使用している場合は、必ず二段階認証を設定し、定期的にパスワードを変更することで、不正アクセスのリスクを軽減することができます。

セキュリティと管理のおすすめの方法

ビットコインウォレットのセキュリティは、資産を守る上で最も重要な要素です。一度失われた秘密鍵は二度と取り戻すことができず、それに紐付いたビットコインへのアクセスも永久に失われてしまいます。そのため、適切なセキュリティ対策と管理方法を実践することが不可欠です。

バックアップと復元の重要性

ウォレットのバックアップは、以下のような状況に備えるために必要不可欠です:

  • デバイスの故障や紛失
  • マルウェア感染
  • 自然災害による損失
  • 物理的な破損や盗難

特に重要なのは、シードフレーズ(ニーモニックコード)のバックアップです。これは12~24個の英単語で構成された復元フレーズで、ウォレット内のすべての秘密鍵を復元することができます。このシードフレーズは、以下の点に注意して保管する必要があります:

  1. 物理的な記録方法
    • 耐水性・耐久性のある素材に記録
    • デジタルデータとしての保存は避ける
    • 複数の場所に分散して保管
  2. 定期的な確認
    • バックアップの状態確認
    • 復元テストの実施
    • 保管場所の安全性確認

バックアップを作成する際は、第三者の目に触れない安全な環境で行うことが重要です。また、シードフレーズを記録した後は、実際に復元テストを行って正しくバックアップができているか確認することをお勧めします。

セキュリティ対策の具体的な方法

ビットコインウォレットのセキュリティを高めるための具体的な対策をご紹介します:

  1. 基本的なセキュリティ対策
    • 強力なパスワードの設定
    • 二段階認証の有効化
    • 最新のソフトウェアの使用
    • 安全なネットワーク環境の確保
  2. 高度なセキュリティ対策
    • マルチシグネチャの設定
    • コールドストレージの活用
    • ハードウェアウォレットの使用

これらの対策について、より詳しく説明していきます。まず、パスワードは十分な長さと複雑さを持たせ、他のサービスとは異なるものを使用します。二段階認証は、可能な限り物理的な認証デバイスを使用することをお勧めします。

特に大量のビットコインを保管する場合は、マルチシグネチャウォレットの使用を検討してください。これにより、複数の署名が必要となり、単一の秘密鍵が漏洩しても資産を守ることができます。

また、セキュリティを強化するためのベストプラクティスとして、以下の習慣を身につけることをお勧めします:

  • 定期的なソフトウェアアップデート
  • 不審なリンクやダウンロードの回避
  • 取引時の送金先アドレスの複数回確認
  • ウォレットソフトウェアの信頼できる提供元からの入手

特に重要なのは、秘密鍵やシードフレーズを絶対にデジタルデータとして保存しないことです。スクリーンショットの撮影や、クラウドストレージへの保存、メールでの送信なども避けるべきです。これらの情報がインターネットに接続されたデバイスに保存されると、マルウェアやハッキングのリスクにさらされることになります。

最後に、定期的なセキュリティ監査を行うことをお勧めします。以下の項目をチェックしてみましょう:

  • バックアップの状態確認
  • セキュリティ設定の見直し
  • アクセス権限の確認
  • 不要なウォレットソフトウェアの削除

このように、ビットコインウォレットのセキュリティは、技術的な対策と適切な運用管理の両方が重要です。一度確立したセキュリティ対策も定期的に見直し、必要に応じて強化していくことで、より安全な資産管理が可能となります。

栗田基成

株式会社DeLTのCEO/CTO。2017年からブロックチェーンエンジニアとして活動。Defi開発、L1チェーンの立ち上げ、設計に関与。EVM Chain、Cosmos、MoveVM Chainなど様々なチェーン上でのDapps開発を経験。2023年10月に株式会社DeLTを設立。

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