DeFiとは?暗号資産(仮想通貨)との関係や主要なプロトコルを解説

2025/01/09

DeFiとは?暗号資産(仮想通貨)との関係や主要なプロトコルを解説

暗号資産(以下、仮想通貨)の世界で注目を集めるDeFi(分散型金融)は、従来の金融システムを根本から変革する可能性を秘めています。銀行や証券会社などの仲介者を必要とせず、スマートコントラクトを活用して融資や取引を自動化することで、誰もが平等にアクセスできる新しい金融サービスを実現。本記事では、DeFiの基本的な仕組みから、代表的なプロトコルまでをわかりやすく解説していきます。

DeFi:ブロックチェーンが実現する新たな金融システム

DeFiの基本概念と従来の金融システムとの違い

DeFi(Decentralized Finance)は、分散型金融と訳され、ブロックチェーン技術を基盤とした新しい金融システムです。従来の中央集権型金融システムとは異なり、DeFiには以下のような特徴があります:

  1. 非中央集権性:銀行や政府などの中央機関を介さず、ユーザー同士が直接取引を行います。
  2. オープンアクセス:誰でも参加可能で、インターネット接続とデジタルウォレットがあれば利用できます。
  3. トランスペアレンシー:全ての取引がブロックチェーン上に記録され、誰でも確認可能です。
  4. プログラマビリティ:スマートコントラクトにより、複雑な金融取引を自動化できます。
  5. 相互運用性:異なるDeFiプロトコル間で資産やデータを容易に移動・利用できます。

これらの特徴により、DeFiは従来の金融システムよりも効率的で、透明性が高く、かつアクセスしやすい金融サービスを提供しています。

ブロックチェーン技術がDeFiを可能にした理由

ブロックチェーン技術は、以下の要素によってDeFiを可能にしました:

  1. 分散型台帳:中央機関なしで取引を記録し、検証する仕組みを提供します。
  2. スマートコントラクト:自動実行可能なプログラムにより、複雑な金融取引を仲介者なしで実行できます。
  3. トークン化:資産をデジタル化し、容易に取引・移転可能にします。
  4. 改ざん耐性:一度記録された情報は変更が困難で、高いセキュリティを実現します。
  5. グローバルアクセス:地理的制約なく、24時間365日稼働するシステムを提供します。

これらの特性により、ブロックチェーンはDeFiの基盤技術として不可欠な役割を果たしています。

代表的なDeFiプロジェクトとその特徴

DeFiには多くのプロジェクトが存在しますが、以下は特に注目される代表的なプロジェクトです:

  1. Uniswap:分散型取引所(DEX)の代表格で、自動マーケットメーカー(AMM)モデルを採用しています。ユーザーが流動性を提供し、それに対して報酬を得る仕組みが特徴です。
  2. Lido:イーサリアム2.0のステーキングを容易にする流動性ステーキングプロトコルです。ユーザーはETHをステーキングしながら、流動性のあるstETHトークンを受け取ることができます。
  3. AAVE:分散型レンディングプラットフォームの先駆者で、ユーザーは暗号資産を預けて利子を得たり、担保として借り入れを行ったりすることができます。
  4. MakerDAO:ステーブルコインDAIを発行する分散型自律組織(DAO)で、暗号資産を担保にした融資システムを提供しています。

これらのプロジェクトは、それぞれがDeFiの異なる側面を代表しており、従来の金融サービスを分散型システムで再構築する革新的な取り組みを行っています。各プロジェクトの成功により、DeFiエコシステム全体の成長と進化が促進されています。

Uniswapが実現する分散型取引所の仕組みとは?

Uniswapの基本的な仕組みと特徴

Uniswapは、イーサリアムブロックチェーン上で動作する分散型取引所(DEX)です。その基本的な仕組みと特徴は以下の通りです:

  1. スマートコントラクト基盤: Uniswapの全ての機能は、イーサリアム上のスマートコントラクトによって自動的に実行されます。これにより、中央管理者なしで24時間365日稼働する取引システムを実現しています。
  2. 流動性プール: 中央管理者なしで取引を行うためには、ユーザーが提供する流動性プールが必要です。各取引ペア(例:ETH/USDC)に対して独立した流動性プールが存在し、ユーザーはこれらのプールに資産を預けることで流動性提供者となります。
  3. トークンスワップ: ユーザーは、これらの流動性プールを利用して、直接トークン間の交換(スワップ)を行うことができます。取引は即時に行われ、複数のトークンを経由した複雑なスワップも可能です。
  4. 流動性提供者への報酬: 流動性プールに資産を預けた提供者は、取引手数料の一部を報酬として受け取ります。これにより、ユーザーが自発的に流動性を提供するインセンティブが生まれています。
  5. ガバナンストークン(UNI): Uniswapは独自のガバナンストークンであるUNIを発行しており、トークン保有者はプロトコルの意思決定に参加することができます。

自動マーケットメーカー(AMM)モデルの革新性

Uniswapの中核をなす自動マーケットメーカー(AMM)モデルは、従来の取引所とは全く異なるアプローチを取っており、以下のような革新性を持っています:

  1. オーダーブック不要: 従来の取引所で使用されるオーダーブック(板取引の板)が不要となり、常に流動性が提供される仕組みを実現しています。
  2. 価格決定メカニズム: x * y = k という簡単な数式(定数積公式)を用いて、プール内の資産比率に基づいて価格が自動的に決定されます。これにより、需要と供給のバランスが保たれます。
  3. スリッページの透明性: 取引量が増えるほどスリッページ(予想価格と実際の取引価格の差)が大きくなります。この仕組みによって、大量の売却が起こりにくくなり価格の大きな変動が防げます。
  4. 裁定取引の機会: AMMモデルは、他の取引所との価格差を利用した裁定取引の機会を生み出し、より安定した市場の効率性を高めています。
  5. イノベーションの促進: AMMモデルの登場により、様々な派生モデル(例:Curve FinanceのStableSwap AMM)が生まれ、DeFiエコシステムの発展を加速させています。

Uniswapを利用するメリットとデメリット

Uniswapの利用には以下のようなメリットとデメリットがあります:

メリット

  1. アクセシビリティ:中央集権型の取引所のようなKYC(本人確認)手続きが不要で、誰でも簡単に利用できます。
  2. セキュリティ:ユーザーは常に自分の資産の管理権を保持し続けることができ、取引所のハッキングリスクを軽減できます。
  3. 豊富な取引ペア:流動性プールは誰でも作成できるため、マイナーな通貨ペアでも取引が可能です。
  4. 透明性:全ての取引とプロトコルのロジックがブロックチェーン上で公開されており、高い透明性を確保しています。
  5. 収益機会:流動性提供者として参加することで、取引手数料からの収益を得ることができます。
デメリット
  1. スリッページ:大量の取引を行う際にスリッページが大きくなる可能性があり、価格変動のリスクがあります。
  2. 非永続的損失(インパーマネントロス):流動性提供者は、市場価格の変動によって「非永続的損失(インパーマネントロス)」と呼ばれる損失を被る可能性があります。
  3. **ガス代:**イーサリアムネットワークの混雑時には、高額のガス代(取引手数料)がかかる場合があります。
  4. スマートコントラクトリスク:プロトコルのバグや脆弱性により、資産が失われるリスクが存在します。
  5. 規制の不確実性:多くの国でDEXに対する規制が明確でなく、将来的な法的リスクが存在する可能性があります。

上記のように様々なメリットとデメリットが存在しますが、誰でも流動性が提供可能で24時間自由に取引が行われるシステムは非常に画期的です。

LidoとAAVE:ステーキングとレンディングがDeFiを通じてどう変わるのか?

Lidoが提供する流動性ステーキングの仕組みと利点

Lidoは、イーサリアム2.のステーキングを簡易化し、流動性を提供する革新的なDeFiプロトコルです。その仕組みと利点は以下の通りです:

流動性ステーキングの仕組み

  • ユーザーはLidoにETHを預けると、同額のstETH(staked ETH)トークンを受け取ります。
  • Lidoは預かったETHをイーサリアム2.0のバリデータとしてステーキングします。
  • stETHはERC20トークンであり、取引や他のDeFiプロトコルでの利用が可能です。
  • ステーキング報酬は日々stETHの価値に反映され、保有者の残高が自動的に増加します。
  • Lidoは複数の信頼できるバリデータ運営者にステーキングを分散させ、セキュリティとパフォーマンスを最適化しています。

LIDOを利用するメリット

  1. 低い参加障壁
    • 通常32ETHが必要なイーサリアム2.0のステーキングを少額から参加可能にしています。
  2. 流動性の確保
    • ステーキングしたETHは通常ロックアップされますが、stETHを介して流動性を維持できます。
  3. 複合的な収益機会
    • stETHを他のDeFiプロトコルで活用することで、追加の収益を得る機会があります。
  4. ガバナンス参加
    • LDOトークンを通じて、Lidoプロトコルの意思決定に参加できます。

Lidoの流動性ステーキングモデルは、イーサリアム2.0への移行を促進し、より多くのユーザーがPoSネットワークのセキュリティに貢献しながら収益を得る機会を提供しています。

AAVEのプラットフォームが実現する分散型レンディングの特徴

AAVEは、暗号資産の貸し借りを可能にする先進的な分散型レンディングプロトコルです。その主な特徴は以下の通りです:

  1. 多様な暗号資産に対応
    • 多数の暗号資産に対応しており、ユーザーは様々な資産を預けたり借りたりすることができます。
  2. 変動金利と固定金利
    • 借り手は変動金利と固定金利を選択でき、市場状況に応じて最適な選択が可能です。
  3. フラッシュローン
    • 担保なしで瞬時に大量の資金を借り、同じトランザクション内で返済する機能を提供しています。これにより、裁定取引などの高度な戦略が可能になります。
  4. 利率の自動調整
    • 需要と供給に基づいて利率が自動的に調整され、市場の効率性を高めています。
  5. 流動性マイニング
    • プラットフォーム利用者にAAVEトークンを報酬として提供し、利用促進と長期的な成長を図っています。
  6. クレジットデリゲーション
    • 信頼できる借り手に対して、自身の信用枠を委譲する機能があり、新たな信用システムを構築しています。
  7. リスク管理機能
    • 健全性比率や清算閾値などのパラメータを通じて、システム全体のリスクを管理しています。
  8. マルチチェーン展開
    • イーサリアム以外のブロックチェーンにも展開し、マルチチェーンでのレンディングサービスを提供しています。
  9. ガバナンス参加
    • AAVEトークン保有者は、プロトコルの重要な決定に参加することができます。

AAVEの分散型レンディングモデルは、従来の中央集権型金融機関を介さずに、効率的で透明性の高い貸借市場を実現しています。これにより、グローバルで公平なアクセス、高い流動性、そして革新的な金融サービスの創出を可能にしています。

LidoとAAVEは、それぞれステーキングとレンディングという異なる分野で、DeFiの可能性を大きく広げています。これらのプロジェクトは、従来の金融サービスを分散化し、より効率的で包括的な金融システムの構築に貢献しています。

キメラゴリラ

Avalancheアンバサダー 2021年から暗号通貨を開始

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