Soneium(ソニューム)とは?ソニーが描くWeb3の未来を築く次世代ブロックチェーン

2025/01/19

Soneium(ソニューム)とは?ソニーが描くWeb3の未来を築く次世代ブロックチェーン

ソニーグループが新たに立ち上げたイーサリアムレイヤー2ブロックチェーン「Soneium(ソニューム)」が、2025年1月にメインネットを正式にローンチしました。

「境界を超えたオープンなインターネットの実現」をビジョンに掲げるSoneiumは、ソニーの持つエンターテインメントの知見とStartaleのブロックチェーン技術を融合。

本記事では、このブロックチェーンの特徴と可能性を詳しく解説していきます。

Soneiumとは? – ソニーグループが挑むブロックチェーンプロジェクト

Soneium(ソニューム)は、ソニーグループとWeb3テクノロジー企業のStartaleが共同で立ち上げたパブリックブロックチェーンプロジェクトです。Sony Block Solutions Labsという合弁会社を通じて開発され、イーサリアムのレイヤー2ソリューションとして設計されています。

パブリックブロックチェーン

誰でも参加できる、完全にオープンなブロックチェーンネットワークです。ビットコインやイーサリアムが代表例で、取引記録は全て公開され、誰でも確認できます。中央管理者がいないため、参加者全員で運営を支えているのが特徴です。

レイヤー2

ブロックチェーンの処理速度と手数料の課題を解決するための拡張技術です。メインチェーン(レイヤー1)の上に構築された追加のネットワークで、より速く安価な取引を実現します。例えば、イーサリアムのOptimismやArbitrumなどが該当します。

Soneiumの位置づけと目的

Soneiumの公式ドキュメントによれば、このプロジェクトは「ブロックチェーン技術(Web3)と日常的なインターネットサービス(Web2)の接続を実現し、より多くのユーザーがブロックチェーンを簡単に利用できる環境」を目指しています。

このプラットフォーム上では、ブロックチェーン技術の可能性を広げる革新的なアプリケーションの開発が期待され、特にエンターテインメント、ゲーム、金融などの分野で競争力のある機能を提供していく計画です。

“Soneium will connect the blockchain technology (Web3) with the everyday internet services (Web2). This connection will make things easier for users, helping more people start using blockchain. With Soneium, users can look forward to innovative applications that push the boundaries of blockchain technology, competitive features in the existing layer 2 landscape, and a unique blend of entertainment, gaming, finance, and other infinite possibilities.”

引用元(出典):Soneium 公式ドキュメントより

3つの主要な特徴

プロジェクトの中核となる特徴は、以下の3点です:

  • スケーラブルな技術基盤:
    Optimism財団が開発したOP StackとSuperchainを採用し、高速で低コストな取引を実現
  • クリエイター中心の設計:
    知的財産権の保護に重点を置き、クリエイターが安心して創作活動に取り組める環境を提供
  • 包括的な開発環境:
    開発者が使いやすいツールとドキュメントを提供し、革新的なアプリケーション開発をサポート

このように、SoneiumはソニーグループがWeb3の未来に向けて打ち出した重要な戦略的取り組みとして位置付けられています。

Soneiumが目指す3つの価値

Soneiumは以下の3つの価値を掲げ、次世代のブロックチェーンプラットフォームとしての発展を目指しています:

  • エモーション:感動を生み出すブロックチェーン
  • クリエイティビティ:創造性を解放するプラットフォーム
  • Go Mainstream:Web3の大衆化を実現

これらの3つの価値は、Soneiumのビジョンである「境界を超えたオープンなインターネットの実現」に向けた具体的な指針となっています。多様な価値観を持つ人々が創造性を発揮できるプラットフォームとして、Web3の可能性を広げていくことを目指しています。

Soneiumの技術基盤

Soneiumは、イーサリアムのレイヤー2ソリューションとして、高いスケーラビリティと低コストな取引を実現する技術基盤を採用しています。安全性と使いやすさを両立させながら、大規模なWeb3アプリケーションの運用を可能にする設計となっています。

イーサリアムレイヤー2(L2)としての特徴

すべてのトランザクションには、レイヤー2(Soneium)手数料とレイヤー1(Ethereum)手数料の2種類のコストが発生します。L2手数料はSoneium上でのトランザクション実行コスト、L1手数料はイーサリアムメインネット上での公開に必要な推定コストとなります。この二層構造により、イーサリアムの高いセキュリティを維持しながら、効率的な処理を実現しています。

OP StackとSuperchainの活用

OP Stack(Optimism Stack)は、イーサリアムのスケーラビリティを向上させるためのOptimistic Rollup(オプティミスティック・ロールアップ)技術を採用しています。これはイーサリアムのメインネット上のトランザクションを束ねて処理することで、高速かつ低コストな取引を実現します。

また、Superchainは複数のOP Stackベースのブロックチェーンを接続する相互運用可能なネットワークです。Soneiumはこれらの技術を採用することで、以下の利点を実現しています:

  • EVMとの完全な互換性確保
  • スケーラブルな処理能力
  • 開発者フレンドリーな環境の提供
  • ネットワーク間の相互運用性

OP StackとSuperchainの採用により、Soneiumはイーサリアムの利点を活かしながら、高いスケーラビリティと相互運用性を実現する基盤を構築しています。

セキュリティと知的財産権保護の取り組み

Soneiumは、クリエイターの権利保護を重視した独自のセキュリティ対策を実装しています。特に知的財産権の保護については、以下のような具体的な施策を導入しています:

  • スマートコントラクトレベルでのIP保護機能
  • 約12時間のグレースピリオドによる慎重な審査プロセス
  • コミュニティと連携した透明性の高い運営
  • 違反案件に対する一時的なRPCレベルでの制限措置

これらの技術基盤により、Soneiumはクリエイターの権利を守りながら、革新的なWeb3サービスの開発と運用を可能にしています。特に、ソニーグループのエンターテインメント分野での知見を活かした知的財産保護の仕組みは、このプラットフォームの大きな特徴となっています。 

Soneiumエコシステムの展開

Soneiumは、エコシステムの急速な発展を目指し、開発者支援やパートナーシップの強化に積極的に取り組んでいます。特に、革新的なプロジェクトの育成とグローバルな協力体制の構築に注力しています。

Soneium Sparkインキュベーションプログラム

Soneium Sparkは、ビジョナリーなクリエイターとビルダーを支援するインキュベーションプログラムとして立ち上げられました。プログラムでは、革新的なアイデアを市場で実用可能なソリューションへと発展させることを目的とし、選定されたプロジェクトに対して最大10万ドルの投資支援を提供しています。参加者は、インフラストラクチャープロジェクトとの専用ワークショップやVCパートナーとの投資機会など、様々な特典を受けることができます。

採択された注目プロジェクト

1,700以上の応募の中から選ばれた32のプロジェクトが、現在Soneium上で開発を進めています。採択プロジェクトは以下の3つのカテゴリーに分類されます:

  • DeFiカテゴリー(10プロジェクト)
    • Kyo Finance:最適なLP収益を提供するDEX
    • Macaron Finance:ETH & USDC収益を最大化する300%レバレッジファーミング
    • その他、革新的な金融サービス
  • Web3エクスペリエンス(21プロジェクト)
    • PGA TOUR Rise:グローバルゲームスタジオによる開発
    • Alias:3Dアバターを活用した動画・配信プラットフォーム
    • UneMeta:日本のアニメIPを活用したWeb3プラットフォーム
  • オープンカテゴリー(1プロジェクト)
    • NewLo:既存ロイヤリティポイントのトークン化と顧客マーケティングソリューション

主要パートナーとの連携

Soneiumは、業界をリードする企業との強力なパートナーシップを構築しています:

  • Optimism:スケーリングソリューションの提供とSuperchainへの参加
  • Chainlink:オラクルサービスとブロックチェーンインフラの提供
  • Alchemy:Web3開発インフラストラクチャとツールの提供
  • Circle:USDCを通じた決済ソリューションの実現
  • The Graph:データインデックスとクエリサービスの提供
  • Astar Network:特別パートナーとしてエコシステムの統合を推進

これらのパートナーシップと多様なプロジェクトの展開により、Soneiumは包括的なWeb3エコシステムの構築を加速させています。特に、ソニーグループの既存のビジネスとの連携可能性を探りながら、Web3技術の普及と新しい価値創造を目指しています。

クリエイターエコノミーとWeb3の融合

Soneiumは、クリエイターの権利保護と公平な利益分配の仕組みを確立することで、新しいクリエイターエコノミーの形を提案しています。特に、ソニーグループの持つエンターテインメントの知見を活かし、デジタルとリアルの両面でクリエイターの活動を支援していきます。

Web2からWeb3への移行を支援する直感的なツールと、使いやすいアプリケーション開発環境の提供により、より多くのクリエイターがブロックチェーン技術を活用できる環境を整備しています。

グローバル展開とビジョン

文化的な違いを超えた接続性の実現と、多様な価値観を持つユーザーの参加促進を目指しています。短期的には開発者エコシステムの拡大と基盤技術の強化に注力し、中長期的にはグローバルな規模でのWeb3採用を促進する計画です。

このビジョンの実現に向けて、以下の取り組みを進めています:

  1. 開発者向けの包括的なサポート提供
  2. ソニーグループの既存サービスとの統合促進
  3. グローバルなパートナーシップの拡大
  4. コミュニティ主導の成長モデルの確立

Soneiumは、これらの取り組みを通じて、Web3技術の可能性を広げ、より多くの人々がブロックチェーン技術の恩恵を受けられる未来の創造を目指しています。

参加を希望する開発者やクリエイターは、公式ドキュメントやDiscordコミュニティを通じて、詳細な情報とサポートを得ることができます。

Soneiumに対する国内外の反応

Soneiumの発表後、国内外のソーシャルメディアでは様々な反響が寄せられました。特にXでは、技術者やクリエイター、一般ユーザーなど、幅広い層からの意見や感想が投稿されています。ここでは、特徴的なXのポストをいくつかご紹介します。

【参入プロダクトの様子】

ポイント解説

  • 「live on soneium」と検索すると、Soneium上にローンチされるプロダクトが確認できます。
  • 実際に様々なプロダクトが参入してきており、期待感が感じられます。

皆様も実際に検索してお気に入りのプロダクトがないか探してみましょう。

【ローンチ初日の対応まとめ】

ポイント解説

  • ローンチ直後にソニーに関連するキャラクターをもとにしたミームコイン等が多数公開されましたが、翌日に「IP許諾がとられていないものを象徴とするミームコイン」が次々にBan(使用禁止処置)されました。
  • それらのトークンにユーザーがアクセスできなくなり、すでに購入した人は実質的にこれらのトークンを失ったことになりました。
  • これらソニーの対応に、賛否両論の声が上がっている。

クリエイター保護の観点から、著作権を侵害する可能性のあるトークンの排除は必要であるという考えと、それはパブリックなブロックチェーンの思想に反する仕組みだという考えが対立しているようです。

【Ethereum共同創設者Vitalik氏の反応】

ポイント解説

  • Soneiumの設計をL2としての選択の自由度を示す好例として評価
  • ソニーの採用したアプローチを「速度制限はあるが検閲はない」という中間的な解決策として位置づけ
  •  L2の設計において完全な中央集権と完全な分散化の間に幅広い選択肢があることを強調
  • 企業による採用とWeb3の理念の両立可能性を示唆

つまり、Soneiumを「良いバランスの取れた設計」として評価し、ソニーは企業として必要な管理は維持しつつ、取引内容は誰でも確認できる透明性を実現していると指摘しています。

まとめ – Soneiumが築く新たなWeb3の未来へ

ソニーグループが立ち上げたブロックチェーンプラットフォームSoneiumは、「境界を超えたオープンなインターネットの実現」というビジョンのもと、Web3の新しい可能性を切り開こうとしています。

イーサリアムレイヤー2としての高いスケーラビリティ、クリエイターの権利を守る独自の保護機能、そして充実した開発環境の提供により、テクノロジーと創造性の融合を実現。さらに、グローバルパートナーとの連携や、Soneium Sparkを通じた革新的なプロジェクトの支援など、エコシステムの発展に向けた取り組みも着実に進んでいます。

ソニーグループが持つエンターテインメントの知見と、最新のブロックチェーン技術を組み合わせることで、Soneiumは新しい形のデジタルエコシステムを創造しようとしています。この挑戦が、Web3の未来にどのような可能性をもたらすのか、今後の展開が注目されます。

矢井田 友暉

理学博士。植物を対象とした保全生態学分野での研究活動と並行し、ブロックチェーンやスマートコントラクトの開発に従事。日本とドバイでWeb3プロジェクトの開発経験を持つクロスフィールドな研究者/エンジニア。

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