イーサスキャン(Etherscan)の使い方を分かりやすく解説

2025/01/23

イーサスキャン(Etherscan)の使い方を分かりやすく解説

イーサリアムのブロックチェーン上で行われる全ての取引(トランザクション)やコントラクトを誰でも簡単に確認できるイーサスキャン(Etherscan)。

イーサスキャンを使いこなすことは、DeFiやNFTの取引を安全に進める上で必須のスキルとなっています。トランザクションの状態確認やガス料金の調査、スマートコントラクトの検証など、イーサリアムネットワークを活用する際に欠かせない機能を備えています。

初心者の方でも理解しやすいよう、イーサスキャンの基本的な使い方から実践的な活用方法まで、具体例を交えながら詳しく解説していきます。

イーサスキャン(Etherscan)とは?エクスプローラーの基本を理解しよう

イーサスキャンは、イーサリアムのブロックチェーン上で行われるすべての取引やコントラクト内容を誰でも無料で確認できるウェブサービスです。

これはブロックチェーンエクスプローラーの一種であり、イーサリアムネットワーク用のイーサスキャンのように、各ブロックチェーンには専用のエクスプローラーがあります。例えば、レイヤー2のアービトラム(Arbitrum)ネットワークではアービスキャンが使用されています。

ブロックチェーンの透明性という特徴を活かし、取引履歴やスマートコントラクトの内容を簡単に検証することができます。DeFiやNFTの利用が増える中で、安全な取引を行うために欠かせないツールとなっています。

Etherscan公式URL: Ethereum (ETH) Blockchain Explorer

 ブロックチェーンエクスプローラーの役割

ブロックチェーンエクスプローラーには以下のような重要な役割があります:

  •  取引の透明性確保
  • リアルタイムでの取引状況確認
  • スマートコントラクトの検証
  • ネットワークの状態監視

これらの機能により、ブロックチェーン上で行われるすべての活動を追跡することが可能です。

例えば、送金したイーサリアムがまだ届いていない場合、トランザクションの状態を確認して原因を特定できます。また、スマートコントラクトの内容を確認することで、安全性の検証も行えます。

イーサスキャンで確認できる主な情報

イーサスキャンでは、次のような基本的な情報を簡単に確認することができます:

  • アドレスごとの残高と取引(トランザクション)履歴
  • 個々の取引の詳細情報(送金額、ガス代など)
  • スマートコントラクトのソースコードと認証状態
  • ERC-20やERC-721(NFT)などのトークンの詳細データ

これらの情報は、イーサリアムを使用する上で非常に重要です。例えば、DeFiプロトコルを利用する前にスマートコントラクトが正しく認証されているか確認したり、NFTの取引履歴を追跡したりすることができます。また、アドレスの残高確認や取引履歴の取得も簡単に行えるため、自身のウォレット管理にも役立ちます。

ERC-20

イーサリアム上でトークンを作成・発行するための標準規格で、暗号資産(仮想通貨)取引所で取引される一般的な暗号資産の多くがこの規格に従っています。各トークンは同じ価値を持ち、1トークンを0.5や0.1のように分割して取引することもできます。

ERC-721(NFT)

NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)を作成するための規格で、デジタルアート作品やゲームアイテムなど、それぞれが固有の価値を持つデジタル資産を表現することができます。各トークンは唯一無二の存在として扱われ、分割して取引することはできません。

イーサスキャンでトランザクション情報を確認する方法

イーサスキャンの基本的な見方を、実際の画面を見ながら解説していきます。送金状況の確認やガス代の設定など、日常的に必要となる操作を中心に説明します。

ガス/ガス代

ガスは、ブロックチェーン上の取引やスマートコントラクトを実行する際に必要な手数料の単位で、ネットワークの負荷に応じて価格が変動します。

ガス代は、ガス量×ガス価格(Gwei単位)で計算され、最終的にイーサリアム(ETH)で支払うことになります。

wei

Weiはイーサリアムの最小取引単位で、1 ETH = 10^18 Weiです。

Gwei(ギガウェイ)は、その中間単位で1 Gwei = 10^9 Wei(つまり1 ETH = 10^9 Gwei)となります。ガス代の表示によく使用されるGweiは、小額の取引手数料を分かりやすく表現するために便利な単位です。

トランザクションハッシュから取引を追跡する

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取引の確認は、画面上部の検索窓にトランザクションハッシュ(Tx)を入力することから始まります。トランザクションハッシュは、MetaMask(メタマスク)などのウォレットで送金を行った際に表示される、0xで始まる長い文字列です。

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取引詳細画面では、以下の重要な情報を確認できます:

  • Status(ステータス):取引の状態を示します
    • Success:取引成功
    • Pending:承認待ち
    • Failed:取引失敗(赤字でエラー原因が表示)
  • Block(ブロック):取引が記録されたブロック番号。数字をクリックすると、同じブロック内の他の取引も確認できます
  • Timestamp:取引が実行された日時(UTC)
  • Transaction Action:実行された操作の種類
    • Transfer:通常の送金
    • Swap:トークンの交換
    • Approve:トークンの承認
    • Mint:NFTの発行
    • Stake:ステーキング
  • From:送金元のウォレットアドレス。クリックすると、そのアドレスの詳細情報を確認できます
  • To:送金先のウォレットアドレス。スマートコントラクトとの取引の場合は、コントラクトアドレスが表示されます
  • Value:送金された金額(ETH単位)
  • Transaction Fee:取引にかかった総手数料(Gas Price × Gas Used)
  • Gas Price:ガス代(Gwei単位)

これらの情報を適切に確認することで、トランザクションの状態を正確に把握し、必要に応じて適切な対応を取ることができます。

実際に適当なトランザクションハッシュをクリックして、上記の各情報を確認してみましょう!

Gas Trackerを利用したガス代(Gas Fee)の確認方法

イーサリアムのガス代は、画面右上の[More]から[Explore] > [Gas Tracker]で確認できます。

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Gas Tracker(ガストラッカー)では、現在の推奨ガス代が3段階で表示されます:

  • High:最優先で処理(約30秒以内)
  • Average:標準的な処理速度(約1分)
  • Low:優先度低(数分〜数十分)

画面右側には24時間のガス代推移がヒートマップで表示されます。濃い色ほど混雑してガス代が高く、薄い色は混雑が少なくガス代が低いことを示します。このヒートマップを参考に、ガス代の安い時間帯を選んで取引することで手数料を節約できます。

DeFi・NFTユーザー必見!イーサスキャンの便利な活用方法

イーサスキャンを使いこなすことで、DeFiやNFTの利用をより安全かつ効果的に行うことができます。スマートコントラクトの検証から重要なセキュリティ対策まで、実践的な活用方法を解説します。

スマートコントラクトの確認方法

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スマートコントラクトの確認は、以下の手順で行います:

  • MetaMaskなどで表示されるコントラクトアドレスをイーサスキャンで検索
  • 「Contract」タブを選択
  • 認証済みコントラクトには「Verified」のバッジが表示
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認証済みコントラクトでは、ソースコードの内容や関数の詳細を確認できます。未認証のコントラクトとの取引は、セキュリティリスクが高いため注意が必要です。

ただし、「Verified」は単にソースコードが公開され、内容が確認できる状態を指し、コードの安全性そのものを保証するものではありません。

実際にはその下に実装されているコントラクトの内容を確認する必要があります。特に以下の点に注意してチェックすることが重要です:

  • 重要な関数の実装内容
  • アクセス制御の仕組み(owner権限など)
  • 資金の送受信に関する処理
  • 既知の脆弱性パターンの有無

これらの技術的な確認が難しい場合は、信頼できる監査レポートの有無を確認することをお勧めします。

トークン関連情報の調査

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知りたいトークンのコントラクトアドレスを調べて、トップページの検索窓に入力すると、上の画面が表示されます。このページでは、そのトークンに関連する全ての取引履歴を確認することができます。

また、[More Info]の[TOKEN TRACKER]をクリックして、トークンの詳細情報についても確認することができます。

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トークンページでは以下の重要な情報を確認できます:

  • MAX TOTAL SUPPLY:総供給量と流通量
  • 価格(ドル建て)変動やトランスファー履歴
  • 「Holders」タブから主要な保有者(ホルダー)の分布(上画像参考)

特に大口保有者の動向は、トークン価格に大きな影響を与える可能性があるため、定期的な確認が推奨されます。

セキュリティ対策と注意点

DeFiプロトコルを利用する際、最も注意すべき点の一つがトークン承認の管理です。承認を放置したままにすることで、悪意のあるコントラクトに資産を流出させられるリスクがあります。

トップページの[More] > [Token Approvals]からトークン承認の確認画面へアクセスできます。この機能は現在ベータ版として提供されていますが、セキュリティ管理の重要なツールとして広く利用されています。

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承認画面では以下を確認できます:

  • 承認したスマートコントラクトの一覧と承認日時
  • 各コントラクトに承認したトークンの種類と数量
  • リボーク(承認取り消し)機能

セキュリティ対策として重要な点:

  • 定期的な承認状況の確認(月1回程度)
  • 利用していないプロトコルの承認は速やかにリボーク
  • 不明なコントラクトへの承認は避ける
  • 承認する数量は必要最小限に設定

承認の取り消しは、各承認項目の「Revoke」ボタンをクリックすることで実行できます。ガス代は必要ですが、資産を守るための重要な投資と考えましょう。

Revoke(リボーク)

スマートコントラクトに付与した許可(Approval:アプローバル)を取り消す操作のことです。

特にDeFiやNFTのプロジェクトでトークンの使用許可を与えた後に、セキュリティ上の理由でその許可を無効にする際によく使用されます。

これらの機能を定期的に確認し、不要な承認を管理することで、イーサリアムネットワーク上での取引をより安全に行うことができます。

まとめ

イーサスキャンは、イーサリアムブロックチェーン上の取引を誰でも簡単に確認できる強力なツールです。

基本的な使い方:

  • トランザクションの状態確認
  • ガス代の推移チェック
  • トークン・NFT取引の追跡
  • スマートコントラクトの検証

特にDeFiやNFTの利用が活発になる中、MetaMaskなどのウォレットと組み合わせることで、より安全な取引が可能になります。また、リボーク機能を活用したセキュリティ管理も重要です。

ブロックチェーンの透明性を活かしたイーサスキャンの活用は、イーサリアムネットワークを使用する上で必須のスキルと言えます。この記事で解説した基本機能を使いこなし、安全なWeb3体験を実現しましょう。

矢井田 友暉

理学博士。植物を対象とした保全生態学分野での研究活動と並行し、ブロックチェーンやスマートコントラクトの開発に従事。日本とドバイでWeb3プロジェクトの開発経験を持つクロスフィールドな研究者/エンジニア。

注意事項

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