UnichainがDeFiの未来を変える – 高速L2の全容

2025/02/12

UnichainがDeFiの未来を変える – 高速L2の全容

DeFiの世界に革新的な変化をもたらすUnichainが、ついにMiannetでローンチしました。

Unichainは、1秒という驚異的な速さのブロック生成時間と95%ものガスコスト削減を実現しています

さらに、Superchainとの統合やFlashblocksの採用により、チェーン間の相互運用性と取引の効率性を大幅に向上させています。

すでに88万件以上のテスト取引と12万件以上のスマートコントラクトが展開され、Circle、Coinbase、Lidoなど80以上の主要プロジェクトがUnichainでの開発をスタートしています。

分散型取引所(DEX)の革新者であるUniswap Labsが送り出す次世代のL2ソリューションのUnichainについてわかりやすく解説します。

Unichainが実現する次世代DeFiの革新とは?

分散型金融(DeFi)の領域において大きな変革をもたらす期待がされるUnichainが、Ethereum(ETH)のレイヤー2ソリューションとして注目を集めています。このプロジェクトは、大手の分散型取引所(DEX)であるUniswap(ユニスワップ)を生み出したUniswap Labsによって独自の手法で開発されています。従来のブロックチェーンが直面していた速度や取引コストの課題に対処し、より効率的でユーザーフレンドリーなDeFiエコシステムの実現を目指しています。テストネットでは、すでに88万件を超えるテスト取引および12万件以上のスマートコントラクトが展開されており、その実用性の高さが証明されています。

1秒で処理を完了する驚異的な高速性

Unichainの最も革新的な特徴は、1秒という驚異的なブロック生成時間です。従来のブロックチェーンと比較して大幅な高速化を実現し、さらに将来的には250ミリ秒まで短縮することを目指しています。

高速化を支える技術的な特徴として、Flashblocksと呼ばれる独自のブロック事前確認システムが採用されています。Flashblocksシステムは、TEE(Trusted Execution Environment)のブロックビルダーによって取引が順次処理され、最終的なブロック提案までの待ち時間を最小限に抑えることを可能にしています。

95%削減を実現したガスコストの最適化

Unichainは、Ethereum L1と比較して約95%ものガスコスト削減を実現しています。この大幅なコスト削減は、効率的なL2アーキテクチャの採用によって可能となりました。

最適化されたガスコストは、特にDeFiプロトコルでの取引において大きな利点となります。ユーザーは低コストで頻繁な取引を行うことができ、流動性提供者(LP)にとっても報酬に対するコスト効率が大幅に向上します。さらに、ローンチ時には一定期間、Uniswap Labs独自のインターフェース手数料も無料となることが発表されています。

Stage 1 Rollupが実現する高度な安全性

Unichainは、イーサリアムのレイヤー2として初めてStage 1 Rollupの形式でローンチされました。この特徴は、分散化と安全性を両立する上で重要な意味を持っています。

Stage 1 Rollupの中核となるのが、パーミッションレスなフォールトプルーフシステムです。このシステムでは、誰もが自由にネットワークの検証者として参加することができます。例えば、ある取引に不正や誤りが含まれていることを発見した場合、検証者はその取引に対してチャレンジを行うことができます。このオープンな検証の仕組みにより、特定の管理者や組織に依存することなく、ネットワーク全体の信頼性を確保することが可能となっています。

さらに、Unichain Validation Network(UVN)の導入により、この安全性はより強化されます。UVNは分散化されたノード運営者のネットワークとして機能し、二つの重要なリスクに対処します。一つは「ブロックの二重提案」のリスクです。これは、同じ高さに複数の矛盾するブロックが提案される可能性のことを指します。もう一つは「無効なブロック」のリスクで、これは不正なブロックが提案されることによってチェーンが巻き戻される可能性を指します。UVNのノード運営者たちが継続的にブロックを検証することで、これらのリスクを最小限に抑えることができます。

基盤となるイーサリアムの強力なセキュリティを活用しながら、L2レベルでさらなる安全性の層を追加することで、より信頼性の高い取引環境を実現しています。特に、クロスチェーン取引における経済的なファイナリティ(取引の確定性)を向上させる点で、大きな価値を提供します。

将来的には、TEE(Trusted Execution Environment)ベースのブロックビルダーの導入により、さらなる安全性の向上が計画されています。これにより、取引の順序付けの透明性が高まり、失敗する可能性のある取引を事前に防ぐことが可能となります。

UnichainがもたらすDeFiプラットフォームの新たな可能性

分散型金融(DeFi)の世界は、Unichainの登場により新たな転換点を迎えています。Uniswapプロトコルは過去6年間で2.4兆ドルの取引量を記録し、数百万人のユーザーを獲得してきましたが、Unichainの導入によってDeFiの可能性はさらに広がろうとしています。

Unichainの開発者向け機能と豊富なツール群

開発者にとって、Unichainは革新的なDeFiアプリケーションを構築するための包括的な環境を提供します。

開発者は以下のような機能を活用することができます:

  • スマートコントラクトの迅速な展開
  • Uniswap v4のカスタムフック機能
  • Circle社のUSDCとCCTP(Cross-Chain Transfer Protocol)の統合
  • 充実した開発者ドキュメント

特にUniswap v4との連携は注目です。開発者はカスタムフックを通じて、スワップや流動性提供(LP)に独自のロジックを組み込むことができます。これにより、より柔軟で革新的なDeFiアプリケーションの開発が可能となります。

また、Circle社のUSDCとCCTPの統合により、開発者はステーブルコインを活用した安定的な金融サービスを構築できます。この機能は、クロスチェーンでの取引や決済システムの開発において特に重要な役割を果たします。

ユーザーのための充実したエコシステム

Unichainのエコシステムには、すでに80以上の主要なプロジェクトが参加しており、ユーザーは多様なDeFiサービスを利用することができます。

ユーザーが利用できる主な機能:

  • 複数のブリッジオプションを通じた資産の移動
  • トークンの新規発行と管理
  • Uniswap v2、v3、v4を通じたトークンの取引
  • 流動性提供による収益機会の活用

ローンチ初期においてUniswap Labsがインターフェース手数料を無料にすることを発表している点にも注目です。これにより、ユーザーは低コストでDeFiサービスを体験することができます。

さらに、CoinbaseやTopper、Transakなどの主要な取引所やサービスとの連携により、ユーザーは従来の金融システムからUnichainのエコシステムへ、シームレスにアクセスすることが可能です。実際のユーザー体験は、Uniswapのウェブアプリケーションやウォレットを通じて提供され、直感的なインターフェースで各種サービスを利用することができます。

チェーン間取引の未来を変えるSuperchain統合

イーサリアムのスケーリングが進むにつれて、複数のL2チェーンが登場し、確かに取引コストは低下しましたが、流動性の分断化とユーザー体験の低下という新たな課題が生まれました。UnichainはSuperchainの一部として、この課題に対する革新的な解決策を提示しています。

Superchainとは、Optimismを作ったOP Stackと呼ばれる技術スタックを共有するL2チェーンのネットワークです。従来のマルチチェーンアーキテクチャとは異なり、Superchainに参加する各チェーンは標準化され、互換性のあるリソースとして扱われます。開発者はSuperchain全体を単一のプラットフォームとして扱うことができ、個々のチェーンの違いを意識する必要がありません。

ERC-7683による相互運用性の確保

UnichainはAcrossプロジェクトと共同で開発したERC-7683規格を採用し、チェーン間の相互運用性を大幅に向上させています。このプロトコルの特徴は、単一ブロック内でのメッセージパッシングを可能にする点です。これにより、異なるチェーン間でのトークンの移動や取引が、従来よりもはるかに効率的に実行できるようになります。

Superchainのネイティブな相互運用性により、開発者は複数のチェーンにまたがるアプリケーションを、単一のチェーン上で動作するかのように構築することができます。ユーザーにとっても、利用するチェーンを意識することなく、シームレスな取引体験が実現されます。

Unichain Validation Networkの役割

Unichain Validation Network(UVN)は、Superchainの信頼性を支える重要な要素です。UVNは分散化されたノード運営者のネットワークとして機能し、各チェーンの状態を独立して検証します。

検証者となるためには、運営者はUNIトークンをステーキングする必要があります。各エポックごとにブロックの検証を行い、署名を提供することで、ネットワークの安全性に貢献します。この仕組みにより、以下の3つの重要な課題に対処しています:

  1. ブロックの二重提案リスク:複数の矛盾するブロックが提案されるリスクを軽減
  2. 無効なブロックのリスク:不正なブロックによるチェーンの巻き戻しを防止
  3. クロスチェーン取引の確定性:チェーン間での資産移動の安全性を向上

さらに将来的には、UVNの役割が拡張され、メンプールのモニタリングや取引の包含確認など、より広範な検証機能が追加される予定です。これにより、Superchainネットワーク全体の信頼性と効率性が一層向上することが期待されています。

Unichainのエコシステムの発展に向けた今後の展望

UnichainはDeFiの未来を変革する可能性を秘めたプロトコルとして注目を集めていますが、現在のローンチはあくまでも始まりに過ぎません。より効率的で分散化された金融システムの実現に向けて、複数の重要な機能拡張が計画されています。

TEEベースのブロック生成がもたらす進化

Unichainは、Flashbotsと共同開発したTrusted Execution Environment(TEE)ベースのブロックビルダーを採用することで、取引の実行速度と透明性を大幅に向上させる計画を進めています。

TEEベースのブロックビルダーがもたらす主な利点は以下の通りです:

  • 250ミリ秒という超高速なブロック生成時間の実現
  • 取引順序の透明性の確保
  • 失敗する可能性のある取引の事前検出と防止
  • MEV(Maximal Extractable Value)の最小化

TEEは従来の分散型コンセンサスの代替ではありませんが、他のブロックビルダーと比較して、信頼性とセキュリティを大幅に向上させることができます。また、TEE内での計算の整合性を検証できるため、外部のユーザーも実行結果の正当性を確認することが可能です。

さらなる分散化と相互運用性の拡大

Unichainの開発チームは、エコシステムの発展に向けて、以下のような機能拡張を計画しています:

マルチプルーフセキュリティの導入:

  • 複数の検証システムを並行して運用
  • 信頼性の高い検証メカニズムの実現
  • セキュリティの冗長性確保

これらの機能により、単一の検証システムへの依存リスクを軽減し、より堅牢なネットワークを構築することが可能となります。

L2間メッセージングの高速化も重要な開発目標の一つです。現在のクロスチェーン取引では、チャレンジ期間と呼ばれる待機時間が必要ですが、将来的には以下の改善が計画されています:

  • 低レイテンシーのL2間メッセージパッシング
  • 同期的なクロスチェーン取引の実現
  • チェーン間でのフラッシュローンなどの複雑な取引の実現

さらに、Alt-DAプロトコルと呼ばれる代替的なデータ可用性レイヤーの導入により、スケーラビリティの大幅な向上も見込まれています。これにより、ゲームやソーシャルメディアなど、大規模なデータ処理を必要とするアプリケーションの展開も可能となります。

これらの機能拡張により、Unichainは真の意味でのインターネットスケールの分散型金融プラットフォームへと進化することが期待されています。開発チームは、オープンソースコミュニティとの協力を通じて、DeFiの未来を切り開いていく方針を示しています。

Unichainへのブリッジの方法

UnichainへのETHのブリッジ方法について、順を追って説明します。

ブリッジの準備

まず、Uniswapのウェブサイト(https://app.uniswap.org/swap)にアクセスしてSwap画面を開きます。ブリッジの操作は、このSwapインターフェース上で行います。

トークンの選択

  1. 「売却」欄(上側の入力欄)で、送金元となるArbitrum上のETHを選択します。
  2. 「購入」欄(下側の入力欄)では、送金先となるUnichain ETHを選択します。

金額の設定とブリッジの実行

  1. 送金したい金額を入力します。例えば0.01 ETHを送金する場合、Unichain上では手数料が差し引かれて0.0099 ETHを受け取ることができます。
  2. 「レビュー」ボタンをクリックすると、必要なガス代などの詳細な見積もりが表示されます。
  3. 内容を確認し問題なければ、「スワップ」ボタンをクリックします。この操作は画面上では「スワップ」と表示されていますが、実際にはブリッジとして機能します。
  4. ウォレットで署名を行い、トランザクションを承認します。

完了の確認

トランザクションが成功すると、Unichain上でETHの残高が増加します。この時点でブリッジは完了し、Unichain上でETHを利用できるようになります。

ブリッジも基本的にはUniswapの通常のスワップ操作と同じような手順で実行できます。ブリッジを行う際は、手数料やガス代を考慮して送金額を設定することをお勧めします。

鵜川佑稀

一橋大学商学部卒業。金融学を専攻しリスクや保険がメイン領域。エンジニアとしてドバイに渡りDeFiの開発やL1チェーンの設計などに従事し、2023年に株式会社DeLTの立ち上げから参画。

参考:
https://blog.uniswap.org/unichain-mainnet-is-here
https://docs.unichain.org/docs
https://docs.unichain.org/whitepaper.pdf
https://ethereum-magicians.org/t/a-rollup-centric-ethereum-roadmap/4698
https://www.businesswire.com/news/home/20250210091545/en/Uniswap-Labs-Debuts-Highly-Anticipated-Unichain-To-The-Public

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