Hyperliquidとは?永久先物取引対応のレイヤー1を解説

2025/03/16

Hyperliquidとは?永久先物取引対応のレイヤー1を解説

Hyperliquidは、独自のレイヤー1ブロックチェーン上に構築された注目の分散型取引プラットフォームです。

最大の特徴は、暗号資産(以下、仮想通貨)の永久先物取引(満期日のない先物取引)に対応していることで、ユーザーは好きなだけポジションを保有できます。

すべての取引がブロックチェーン上で実行される完全なオンチェーン取引を実現したHyperliquidは、独自のコンセンサスアルゴリズム「HyperBFT」を採用し、高速な取引処理を可能にしています。本記事では、Hyperliquidの特徴や使い方、将来性について、初心者にもわかりやすく解説していきます。

Hyperliquidの特徴を解説

Hyperliquid(ハイパーリキッド)は、独自のレイヤー1ブロックチェーン(Hyperliquid L1)上に構築された革新的な分散型取引プラットフォームです。

「完全にオンチェーンのオープンな金融システム」というビジョンのもと、すべての取引処理をブロックチェーン上で実行することで、高い透明性と信頼性を実現しています。

開発元のHyperliquid Labsは2022年にDeFi分野に参入し、ユーザーの取引体験を向上させることを目指して継続的な開発を行っています。また、関連組織のHyper Foundationは、ブロックチェーンとそのエコシステムの発展を支援する役割を担っています。

Hyperliquidプロジェクトの概要

Hyperliquidは、DEX(分散型取引所)として従来の中央集権型取引所とは一線を画す、完全分散型の取引プラットフォームとして設計されています。最大の特徴は、すべての取引処理がブロックチェーン上で実行される点です。

このプラットフォームでは、永久先物取引を中心に、最大50倍のレバレッジを活用した取引が可能です。取引対象はビットコインやイーサリアムなどのメジャーな仮想通貨から、新興のアルトコインまで幅広く提供されています

プロジェクトの主な目的は以下の通りです:

  • 透明性の高い分散型取引環境の提供
  • 高速で効率的な取引処理の実現
  • 誰もが自由にアクセスできるオープンな金融システムの構築
  • ブロックチェーン技術を活用した革新的な取引機能の開発

レイヤー1ブロックチェーンHyperliquid L1の特徴

Hyperliquidの技術基盤として特筆すべきは、独自のコンセンサスアルゴリズム「HyperBFT」の採用です。このアルゴリズムは、高速で安全なコンセンサスアルゴリズムとして知られるHotStuffから影響を受けて開発されました。

HyperBFTの主な特徴は以下の通りです:

  • ブロック生成から承認までの時間を1秒未満に抑制
  • 高いセキュリティと処理速度の両立
  • 効率的なトランザクション処理の実現

この独自のコンセンサスアルゴリズムにより、Hyperliquidは他のブロックチェーンと比較して非常に高速な取引処理を実現しています。これは特に、リアルタイム性が求められる先物取引において大きな利点となっています。

オンチェーンオーダーブックの仕組み

Hyperliquidの重要な特徴の一つが、完全なオンチェーンオーダーブックの実装です。従来の取引所では、オーダーブックはオフチェーンで管理されるのが一般的でしたが、Hyperliquidではすべての注文情報がブロックチェーン上に記録されます。

オンチェーンオーダーブックの利点:

  • 取引の透明性が最大限に確保される
  • 取引履歴が改ざん不可能な形で記録される
  • 誰でも取引データを検証可能
  • 中央集権的な管理者を必要としない

このシステムにより、ユーザーは取引所を完全に信頼する必要がなく、すべての取引が公平かつ透明に実行されることが保証されています。また、ブロックチェーン上でのトランザクション処理により、取引の安全性も高いレベルで確保されています。

取引処理の流れは以下のようになります:

  1. ユーザーが注文を発行
  2. 注文がブロックチェーン上に記録
  3. スマートコントラクトによる自動的なマッチング処理
  4. 取引の実行と結果の記録

このように、Hyperliquidは革新的なブロックチェーン技術を活用することで、従来の取引所の課題を解決し、より透明で効率的な取引環境を実現しています。

永久先物取引の特徴と仕組みとは?

永久先物取引は、Hyperliquidの中核を成す取引機能です。従来の先物取引と異なり、取引期限を定めない形式を採用しており、ユーザーは希望する期間だけポジションを保持することができます。

この章では、永久先物取引の基本的な仕組みから、Hyperliquidでの具体的な活用方法まで、詳しく解説していきます。

永久先物取引のメリット

永久先物取引の最大の特徴は、取引期限が存在しないことです。これにより、以下のようなメリットが生まれます:

① ポジション保有期間の柔軟性

ユーザーは市場状況や自身の取引戦略に応じて、任意のタイミングでポジションを決済することができます。従来の先物取引で必要だった期限管理や強制決済の心配がありません。

② 取引コストの最適化

期限到来による強制決済がないため、ポジションのロールオーバーに伴う追加コストが発生しません。これにより、長期的な取引戦略を実行する際のコスト効率が向上します。

③ 市場の連続性

取引期限がないことで、市場の流動性が分散せず、より安定した価格形成が期待できます。これは特に、新興の仮想通貨取引において重要な利点となります。

レバレッジ取引の仕組み

Hyperliquidでは、最大50倍までのレバレッジ取引が可能です。

レバレッジ取引の具体的な仕組みは以下の通りです:

  1. 証拠金の入金:
  • ステーブルコインUSDCを証拠金として入金
  1. ポジションの設定:
  • 取引したい仮想通貨を選択
  • 希望するレバレッジ倍率を設定
  • 取引サイズを決定
  1. リスク管理:
  • 証拠金維持率のモニタリング
  • 自動的なロスカット制度
  • リアルタイムの損益計算

Hyperliquidでは、USDCをメインの証拠金として使用します。取引を始める前に、メタマスクなどのウォレットにUSDCを準備する必要があります。

注意:高レバレッジ取引には大きなリスクが伴うため、十分な知識と経験が必要です。

取引可能な通貨ペア

Hyperliquidでは、様々な仮想通貨の取引が可能です。主な取引対象は以下の通りです:

  • メジャー通貨: ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)などの主要な仮想通貨が取引可能です。これらの通貨ペアは一般的に高い流動性を持ち、比較的安定した取引が可能です。
  • アルトコイン: 新興の暗号資産も取引対象として提供されています。ただし、これらの通貨ペアは流動性が低い場合があり、取引時には注意が必要です。
  • 取引ペアの特徴:
  1. すべてのペアがUSDCを基準通貨として使用
  2. リアルタイムの価格更新
  3. オンチェーンでの価格形成
  4. 透明性の高い取引環境

取引を行う際は、各通貨ペアの流動性や価格変動性を十分に確認し、リスク管理を適切に行うことが重要です。また、新規の通貨ペアが随時追加される可能性もあるため、定期的な情報確認をお勧めします。

 Hyperliquidの将来性と最新動向

Hyperliquidは比較的新しいプラットフォームながら、急速に成長を遂げています。独自のレイヤー1技術と革新的な取引機能により、今後の発展が期待されています。ここでは、プロジェクトの将来性と最新の動向について詳しく解説します。

HyperEVMの展開計画

HyperEVMは、Hyperliquidが開発中の重要な機能拡張です。これは、ブロックチェーンの一部として汎用的なイーサリアム仮想マシン(EVM)を統合するプロジェクトです。

HyperEVMの主な特徴は以下の通りです:

  • 完全な独立性: HyperEVMは他のチェーンに依存せず、Hyperliquidのネイティブ機能と同じHyperBFTコンセンサスによって保護されています。この独立した設計により、安定性と安全性が確保されています。
  • スマートコントラクト機能: EVMの統合により、イーサリアム互換のスマートコントラクトをHyperliquid上で実行できるようになります。これにより、開発者はより複雑な取引ロジックや新しいDeFiアプリケーションを構築できるようになります。
  • シームレスな統合: HyperEVMは、ネイティブのスポット注文帳やパーペチュアル注文帳などのL1の機能と直接連携することができます。これにより、ユーザーは手数料を最小限に抑えつつ、高い流動性のもとでトークンを取引することが可能になります。
  • HYPEトークンの活用: Hyperliquidの独自トークンHYPEは、HyperEVMのガストークンとしての機能も予定されています。これにより、トークンの実用性と需要が高まる可能性があります。

現在はテストネットでの運用段階ですが、メインネットが正式に立ち上がれば、プラットフォームの機能性と価値が大きく向上すると期待されています。

ステーキングサービスの概要

Hyperliquidは、2024年12月からHYPEトークン保有者向けにネイティブステーキングサービスを開始しました。このサービスの主な特徴は以下の通りです:

  • バリデーターの選択: トークン保有者は、ステーキングを通じてネットワークのバリデーターを選択できます。これにより、ネットワークの分散化と安全性が強化されます。
  • 報酬システム: ユーザーはステーキングを通じてネットワークの安全性を支えることで報酬を得ることができます。初期段階では、3億HYPE(約84億ドル相当)がステーキングされ、16のバリデーターに分散されました。
  • ベスティングスケジュール: ロックされたトークンも、一定のベスティングスケジュールに基づいてステーキングが可能です。ただし、得られる報酬はロック解除までは利用できないという制限があります。

このステーキング機能は、HYPEトークンのエコシステムを強化し、長期的なホルダーに報酬を提供することで、プラットフォームの安定性と成長を促進しています。

エコシステムの発展状況

Hyperliquidのエコシステムは急速に発展しており、特に注目されるのは以下の要素です:

ミームコインの盛り上がり:

Hyperliquid上では、PurrやPointsなどのミームトークンが活発に取引されています。特に猫をテーマにしたPURRや大本鐘をモチーフにしたBIGBENは、短期間で大幅な価格上昇を達成し、新たな「MEMEブルーオーシャン市場」の拠点としての地位を確立しつつあります。

コミュニティの成長:

 Hyperliquidは、X(旧Twitter)で66.8K以上のフォロワーを持つなど、活発なコミュニティを形成しています。また、Discordでも活発な議論が行われており、コミュニティ主導の発展が進んでいます。

開発の継続:

プロジェクトチームは定期的にブログを更新し、最新の開発状況や今後の計画について情報を発信しています。透明性の高い開発プロセスにより、ユーザーからの信頼を獲得しています。

トークンの価値上昇:

 2024年11月の上場以来、HYPEトークンは価格が大幅に上昇しています。上場時は約1.8ドルでしたが、2025年2月現在は22ドル前後で取引されており、市場からの高い評価を示しています。

これらの要素から、Hyperliquidエコシステムは今後も成長を続け、分散型金融の重要なプラットフォームとしての地位を確立していく可能性が高いと考えられます。

Hyperliquidのまとめ

Hyperliquidは独自のレイヤー1ブロックチェーン上に構築された分散型取引プラットフォームです。HyperBFTコンセンサスアルゴリズムによる高速な取引処理と、期限のない永久先物取引が大きな特徴です。

最大50倍のレバレッジ取引や完全オンチェーンのオーダーブックなど、革新的な機能を提供する一方、HyperEVMの展開やステーキングサービスの開始など将来性も期待されています。

ただし、海外プロジェクトとしての規制リスクや高レバレッジ取引のリスクも存在するため、利用には十分な注意が必要です。「オープンな金融システム」というビジョンのもと、DeFi市場における新たな選択肢として注目されています。

矢井田 友暉

理学博士。植物を対象とした保全生態学分野での研究活動と並行し、ブロックチェーンやスマートコントラクトの開発に従事。日本とドバイでWeb3プロジェクトの開発経験を持つクロスフィールドな研究者/エンジニア。

 

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